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1998年トラモンド誌掲載記事

 

1998年トラモンド誌掲載記事

2015/11/24 タクシーの行く末

タクシーの行く末
代表取締役 : 桜井 武司
規定の規制緩和政策の流れの先に見えるタクシーの姿とは?関係者はこの実験からタクシーにどんな「輝ける未来」を期待しているのであろうか?残念ながら、私には、今よりもより良いタクシーの姿は、どの角度からも見えてこない。選択・淘汰の機能する基盤の整備をしないまま、量的規制をはずして競争を促進する以上、質的規制で、質の低下を抑え切ることはほとんど不可能である。
さらに運賃規制まで緩和されれば、東京の場合、見えてくるのは、増車と運賃値下げの泥仕合による混乱と、業界の疲弊、レベルの低下、乗務員任せで流し営業主体の原始的なタクシーへの回帰、そして最終的には、外国人による個人タクシー化である。

では、タクシーはどうあるべきか?それは、「使いたい時に、だれでも、安心して使える」タクシー、高齢化社会にも対応する利便性と、生産性、安全性の向上と、労働条件の改善が得られ、市場拡大にもつながる、情報化されたタクシー(INTELLIGENT TAXI)である。

そして今もう1つ、新たに対応を求められている、地球温暖化防止に対応した、ハイブリッドタクシー等、環境に優しいタクシー(ECOLOGICAL TAXI)の実現である。
以上の2点は、タクシーの公共性、社会性からしても、業界全体が早急に取り組み、実現しなければならない、喫緊の課題である。しかし、先行き不透明な今の規制緩和政策からは、業界全体での、これからの実現を期待することは難しい。

一方、上記INTELLIGENT & ECOLOGICAL TAXI は、技術的にはちょうどこの2~3年で実現可能となる状況にある。
私は、東京では、利用者にもリスクの多い今の規制緩和政策は、3年くらい棚上げにして、その間に全くリスクのない情報化と、ちょうどその好機であるエコ化の実現を図るべきだと思う。安全の確保、消費者保護を前提とする規制緩和は、平成9年3月の閣議決定の趣旨からしても、それから行うべきではなかろうか?
そうすれば、無線グループの合従連衡が起こり、グループ間での質的な競争が促進される。そういう基盤ができれば、増減車や参入退出も、適宜グループ単位で自主的に管理されよう。質的規制について、頭を痛める必要もなさそうである。規制は運賃に関してのみで十分、ということになろうか。

「情報化とエコ化」 - 東京のタクシーの行く末を決めるキーワードである。
【1998年12月28日:トラモンド誌掲載原稿】

2015/11/24 HYBRID TAXI

HYBRID TAXI
代表取締役 : 桜井 武司
98年の先駆的低公害車(今回はプリウスのみ該当)導入に対する補助金の交付事業者(17社各1台)が発表され
たが、東京の事業者はゼロである。既に以前から競争原理が作用している地方都市と、選択性の低い流し営業を主体とする東京の事業者の、意識・感覚の相違を示す1つの例であるが、事ほどさように、規制緩和を画一的に語ることがいかに難しいかを物語る事例の1つでもある。

ところで、そのハイブリッドカーだが、東京ではその価格と耐久性、その他費用対効果を考えると、とてもタクシーには使えない、と考えられている。しかし、荒っぽい試算ではあるが、現行の車両を4年で台替えする一般的な使い方と同じコストで、ハイブリッドカーを使うとすると、仮に3年で台替えしてしまっても、車両とバッテリー代で249万円強という数字が算出できるのである。これは、プリウスが215万円ということからしても、メーカーにとって「全くできない相談」という数字ではないと思う。

この計算の詳細は省略するが、まずLPG直噴エンジン型ハイブリッドシステムが開発されることが前提である。(ほとんど間違いないと聞いている)そうすると、現在の保持キロ(LPG1リットル当たりの走行距離)6キロが、最低でも12キロまでは伸びるはずである。(プリウスは都内中心の一般自家用使用で1リットル15キロ程度という報告がある)

249万円、3年台替え、保持キロ12キロという条件がクリアされなければ、事業者は関心を示さない。メーカーは否定的ではないが、タクシーの市場は極めて小さいので、それほど積極的に取り組むほどではない。むしろターゲットは燃料電池式電気自動車にある。従って、HYBRID TAXIの実現には、相当強力な動機づけが必要である。
そこで、私は次のように、東京都の協力を仰ぐことを提案したい。現在東京都が推進中の交通需要マネジメント(TDM)に公共交通機関としてHYBRID TAXIを組み入れ、その優先利用や、補助金交付、税制面等でのインセンティブを与えてもらう。そうすることで、東京都は都内のタクシーをほとんどハイブリッド化することができ、CO2排出量では、タクシーを半分以上、減車してしまったと同じ効果を期待できるわけである。さらに量産効果で、HYBRID TAXIが安く、長く使えるようになれば、事業者のみならず、利用者の利益にもつながることになる。また、波及して一般商用車に普及すれば、そのことによるCO2削減効果は絶大なものとなろう。
【1998年12月14日:トラモンド誌掲載原稿】

2015/11/24 アイドリングストップ

アイドリングストップ

代表取締役 : 桜井 武司
弊社の場合練馬区本社営業所では、出庫から帰庫まで20.5時間の営業時間中、停車をしている時間が、最近では平均7時間強(約3分の1)、川越市の営業所では17.5時間中、8.5時間(約半分)にもなっていると言えば、読者は驚かれると思うが、いずれの場合も、ごく平均的な営収を上げているタクシー会社の実態である。この停車時間の中でエンジンを止めるのは、食事とトイレで車を離れるときくらいで、それは2時間にも満たない。従って、本社で5時間以上、川越営業所では、6.5時間以上もアイドリングしているわけである。これだけの時間、アイドリングがストップできたら、大変な(10~20%)燃費の削減とC02の排出減になるのである。
「ストップ」と言うのは簡単だが、実際にはタクシーの場合、乗務員はその間ずっと車内に居るわけで、特に夏、冬の季節、エアコンを切るわけにはいかない。また駅待ちなどでは、少しずつ前に詰めるために、エンジンは切りたくない。さらに、燃料代は会社持ちだから、ということもあって、どんなに「アイドリングストップしましょう」と口を酸っぱくして教育しても、全く実効は上がっていないのが現状である。
しかし、この不況で、コスト削減のためにはもちろん、地球温暖化防止のためのアイドリングストップは、業界が取り組まねばならない重要な問題である。
バスやトラック業界では既に取り組みが進んでいることや、都のCO2削減政策、総合的な都市交通政策とタクシーの公共性などを考えると、いろいろ事情はあるにせよ、「タクシーはできません」では済まされない状況にあると思う。
幸いにして、東旅協車両資材委員会で、私の提言が採用され、専門小委員会でメーカー(日産)に開発を依頼した、アイドリングストップ装置を近々装着テストすることになったが、何とか使えるものに完成させたいものである。
エアコンと小幅移動の問題はそのままなので、効果は限定されるが、それでも、うまくいけば数%の燃費低減とCO2排出削減が期待できるはずである。
ところで、タクシーのアイドリングストップが理想的にでき、都市型タクシーの営業形態に最もマッチするのが、ハイブリッドシステムである。これがタクシー用LPG直噴エンジンと組み合わせで開発されれば、燃費とCO2排出の半減も夢ではない。残念ながら、タクシーの市場が小さいため、メーカーの取り組みはさほど積極的とは見えないが、しかし決して否定的ではないので、夢のハイブリッドタクシー実現に大いに期待するものである。こんなときこそ、行政の協力と必要な規制緩和、東旅協や全乗連といった業界組織力の出番である。
【1998年11月26日:トラモンド誌掲載原稿】
 

2015/11/24 タクシーの情報化

タクシーの情報化
代表取締役 : 桜井 武司
「だれでも、使いたい時に、安心して使えるタクシー」の実現には、タクシーの情報化が不可欠である。
タクシーの情報化とは、大ざっぱに言うと、すべての車両の動きを配車センターがリアルタイムで把握し、タクシーとの間で正確な通信ができること。さらに、タクシーは外部からの情報を収集しモニターに表示する機能を持つこと。配車センターは利用者への情報提供をするシステムを構築すること。その基本は、タクシーに必要かつ十分な通信機能を持たせ、カーナビを装着することである。
これによって、きめ細かい配車が可能となり、今後の高齢化社会におけるタクシーの公共性、利便性が確保される。配車効率、運行効率を大幅に向上させることができ、生産性が高まる。無駄な走行を減らし、交通の効率化にも役立つ。当然労働条件の改善にもつながり、安全性が確保される。
VICSからの事故渋滞情報や、携帯電話を利用した情報提供サービス(MONET,COMPASSLINK,ITGSなど)は乗客へのサービスとなる。近い将来、カーナビを活用した種々の車内情報提供や、通訳とか観光案内なども可能となろう。
次いで、配車センターから利用者に、情報(空車情報、サービスメニュー、運賃情報など)を提供するシステムを構築する。これで利用者に選択・淘汰の手段を与え、市場原理が機能する。

東京のような、流し営業が主体である市場で、タクシーを情報化しないまま(すなわち選択・淘汰の働かないまま)、競争を進め、市場原理にゆだねていくと、それはほとんど外国人労働者による個人タクシーと化していくであろう。
システマティックな情報化をして、例えば、1グループ5000台とかの一定規模で、これを効果的に機能させるためにはもちろんのこと、現在まだあまり取り上げられていない、交通効率化や低公害車の採用など環境問題への対応、ITSへの取り組みなどにも、基盤のしっかりした法人企業、それらのグループ・団体が、不可欠である。私は、タクシーの公共性、社会性を考えたとき、タクシーの進むべき道は、絶対に個人タクシー化であってはならないと思う。

規制緩和が「角を矯めて牛を殺す」ような結果にならぬよう、東京の業界は、先ず情報化を喫緊の要事ととらえ、その実現に全力を結集すべきだと思う。
情報化は、新規需要の開拓と、生産性の向上、利用者の利便性やサービスの質の確保・向上をもたらしながら、同時に適正な競争を促進させ、規制緩和を推進できる、最善の対応策である。
【1998年11月12日:トラモンド誌掲載原稿】

 

2015/11/24 その前になすべきこと

その前になすべきこと
代表取締役 : 桜井 武司
東京のタクシー業界の不思議を1つご紹介しよう。不景気で駅では空車が列をなし、乗務員はお客様がいないと嘆いているというのに、東京の周辺部では利用者が配車センターに電話しても、ほとんど通じないし、通じても、多くの場合、5分も10分も待たされた揚げ句、空車がないと断られてしまう、ということである。事業者も、乗務員も、それを当たり前ととらえている節さえある。
さっそく、「だから規制緩和が必要」と言われそうだが、これには当然それなりのわけがある。
東京の配車システムは、今や地方都市の先進的事業者のそれ(GPSやカーナビ配車)と比べると精度・性能面で大変遅れてしまっている。そして営業区域が広く、誘導が難しかったり、トラブルが多かったりとかの理由もあり、さらに苦労の多い割には売り上げは少額で、間尺に合わないということから、一般の家庭配車は乗務員に歓迎されていない。従って半数強の乗務員は無線機を使用しないで、流し営業をしている。一方、利用者も少し歩けば流しのタクシーが捕まえられる、バスもある、地下鉄、電車もある、ということで済んでしまっている。
東京のタクシーは、タクシー独特のDOOR TO DOOR サービスの機能を完全に果たしているとは言い難いのである。地方都市の事業者には信じられない話だと思うが、現実である。
こんな状況の下で、規制緩和による適正な競争の促進が期待できるのだろうか?競争が先行し、間尺に合わないところは切り捨てられ、お年寄りが病院へ行くのに、配車してもらえない、などというようでは困る。
東京における家庭配車は、有望な市場というだけでなく、これからの高齢化社会においてタクシーが担うべき責務でもある。この市場を開拓できるのは、東京でこそもっとも効果を発揮する、カーナビ配車である。私はこのシステム構築を数年来提唱してきたが、ここへきてやっと通信の問題、カーナビの性能・価格の問題、そして何よりも事業者の関心の問題等、環境、条件は整いつつある。
カーナビ配車システムの構築により、市場原理の基本である選択・淘汰(とうた)のプロセスが、完全ではないまでも、機能する基盤ができる。選択されることで無線グループ間の競争が促進され、サービスの向上が期待できる。将来タクシーが整備すべき情報化の基盤にもなる。
規制緩和の前にまずなすべきこと、それは市場原理が機能するための環境・基盤の整備である。具体的には、東京の場合、カーナビ配車システムの構築である。今この機会を逃し、競争に突入してしまえば、タクシーはどんどん原始的なものに後退していくに違いない。
【1998年10月12日:トラモンド誌掲載原稿】
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2015/11/24 不況に増車?

不況に増車?

代表取締役: 桜井 武司

運政審タクシー小委員会では「需要が減っているのになぜ増車か?」とタクシー事業者がやゆされたそうである。「競争しろ」と言っている人々が「なぜこの不況下で競争するの?」と言っていることになり、矛盾した話である。
タクシーは、自由競争の下では増車と運賃値上げで、業界全体のレベルを落して行く。そうなっては困るので規制があるのだが、今その規制を、外そうとしているのである。規制が外されれば、経営者なら当然のことだが、まず増車を第一選択肢とする。特に東京のように流し営業主体の、いわば同じパイを自由に奪い合いする市場では、他よりも少しでも売り上げを上げようとするには、まず増車することである。
この場合、みんなが同じように増車してしまえば、各社の売り上げは上がらないが、逆に同じ売り上げをキープするためには、対抗して増車せざるを得ない。そうして競って増車することにより、台当たりの営収はその分落ち、乗務員の質が落ちる。経営コストも上がり、限界に近付いていく。
これが一般の事業であればどういうことはないのかもしれないが、特に選択性の低い東京のタクシーの場合、サービスの質が落ち、また公共性が損なわれる。世界に類を見ない壮大な実験だなどと無責任なことを言っていると、付けは利用者に回ってくる。「不況になぜ増車か?」と言われるような政策はどう考えてもおかしいと思う。
このまま規制緩和が進めば、台当たりの営収低下は避けられず、歩合制による賃金低下は労働力の質の低下をもたらし、業界のレベル全体が下がる。これでは、規制緩和の目的である「輝ける未来」は見えて来ない。行き着く所は、大部分の法人タクシーの崩壊と、大多数の自由気ままに営業をする、原始的な個人タクシーということになろうか。
行政も業界も、タクシーの公共性と競争のバランスを考え、タクシーのあるべき姿、方向付けを急ぐ必要がある。だれでも、使いたいときに、安心して使えるタクシー、産業として社会に認知されるタクシーを実現させるには、今何が必要か?それは増車ではなくて、情報化だと私は思う。
公共性を考えると、タクシーの競争は増車や値下げで行うのではなく、むしろサービスの質の向上で行うべきである。その手段は情報化以外にない。
タイミング良く、関連するハードはほぼ開発されており、必要なソフトの研究も進んでいる。情報化により、利用者の選択・淘汰(とうた)が行われ、事業者も適正に増減車を判断できる環境ができる。情報化は、規制緩和推進のための環境・基盤整備である。

【1998年9月28日:トラモンド誌掲載原稿】


 

2015/11/24 公共交通としてのタクシー

代表取締役 : 桜井 武司
環境庁は毎月第一月曜日には、ハイ・タクの使用を自粛するとの方針を6月20日決定した。
これは、地球温暖化対策として、政府が発表した「政府の率先実行実施要領」に基づくもので、公用車の使用を原則自粛する「霞ヶ関ノーカーデー」に、ハイ・タクも公用車に準じて使わないようにしよう、という環境庁の対応方針である。他省庁への影響が懸念されるが、運輸省はさすがに「霞ヶ関ノーカーデーにおける移動手段は、徒歩、自転車または公共交通機関によるものとする」としている。
環境庁が「ハイ・タクも使用自粛」とした理由は恐らく、使わなければそれだけハイヤー、タクシーの走行距離や稼働率そのものが減り、温暖化防止に寄与するとの発想からだと思う。
確かに、ハイヤーはその通りだが、東京のタクシーは、利用者が有っても無くても、1乗務300~350キロは走り回るという特性が有り、たとえ環境庁が使用を自粛したとしても、それによってタクシーの走行距離を減らし、渋滞やCO2排出の抑制には寄与しない。
むしろ、政府の地球温暖化対策推進大綱に、「公共交通機関の利用促進」と明記されているように、タクシーを公共交通機関として、大いにご利用いただきたいものである。
私は、環境庁がタクシーを公共交通機関と見なしていないことが問題だと思う。この点われわれ業界も、理解を得るための努力が足りないことを反省すべきではなかろうか?
今後タクシー業界は、規制緩和でいやが応でも、増車をはじめとして、激しい競争に巻き込まれ、地球温暖化防止の流れには、逆行することを余儀なくされるわけである。
私はまずタクシーは情報化をして、効率的に使いながら、競争を促進する政策を取るべきだと思う。
しかし、需給調整規制撤廃は目前であり、これを止めるわけにはいかないということであれば、とにかく走り回るタクシーを、有効に活用して行くことが肝心である。そうすることは、都の交通需要マネジメント(TDM)政策にもマッチする。
業界は、こうした仕組みを利用者に理解してもらい、自家用車はもちろん、公用車や社用車の代替としても、もっと公共交通機関としてのタクシーを、利用していただくためのPRなどもすべきである。
同時に、さらに市場拡大を図るには、高齢化時代の、都民の公共の足として、より一層の利便性やサービスの質、運行効率の向上をもたらす、カーナビ配車システムの構築など、今後の情報化に向けた基盤を、早急に整備すべきだと思う。
【1998年9月10日:トラモンド誌掲載原稿】
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カーナビ配車

カーナビ配車
代表取締役 : 桜井 武司
登録利用者が配車センターに電話する。つながると同時に配車係のモニターに、そのお宅の地図と顧客データが表示されるので、名乗る前に配車係が「はい○○様、毎度ありがとうございます。○○町○丁目のご自宅に1台配車でよろしいでしょうか?」。この間に、コンピューターが最も近い空車のカーナビに配車先を表示。乗務員が了解のボタンを押すと、配車係がこれを確認して「○○号車が3分ほどで参ります。ありがとうございました」。
現在、配車先の位置確認、空車の呼び出し、誘導で2~7分もかかる配車が、わずか20秒ほどで完了する。誘導が不要で、従って間違いもない。乗務員は、カーナビの音声案内で、安全に確実に配車先に到着できる。ご了解を得たお得意さまには、配車係がまったく介在しない、完全自動配車さえも可能である。
タクシーにカーナビを装着し、NTTの発信者番号通知サービスによるCTIを活用することで、このような効率の良い配車が可能となった。(東京では、通信の問題解決が必要。99年後半以降か)
このカーナビ配車は、営業区域の広い東京のような大都市で、特に今後需要が見込まれる。高齢者宅等への一般家庭配車にこそ、威力を発揮するシステムである。誘導に高度な熟練を要する配車係の、数と質において、大幅なコスト削減が可能となる。
乗務員は、まったく地理不案内な場所に居ても、配車が受けられる。従って、強制配車制にすることができ、当然、実車率が向上する。有効空車数は一気に増大して、空車はあるのに配車されないという無駄は、完全に解消される。さらに、すでにかなりの地方都市では、そうであるように、無線配車の比率が上がれば上がるほど選択性が増し、市場原理が作用する。これは、サービスの質の維持、向上を担保することになる。
東京の業界は今後、増車、値下げ競争で業界のレベルを下げていくか、それとも情報化で利便性と、業界のレベルを維持、向上していくか、大変重要な岐路に立たされていると思う。
最近カーナビ配車システムに関心が高まっては来たが、東京では目前の増車を含め、競争の激化に対処できるかどうかさえ不透明な状況で、事業者は、とても新規投資する余裕などはない。
そこで、もし需給調整規制撤廃が、何かの理由で一定期間延期にでもなれば、あるいは、新しい社会的規制によって、増車が抑制でもされれば、各無線グループはこの不況の下、需要掘り起こしに必死となり、その最も有力な手段として、カーナビ配車システムの採用に進むことは間違いないと思うのだが・・・・・。何か便法はないものだろうか?
【1998年10月26日:トラモンド誌掲載原稿】